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ナット&サドルの弦高調整

よりギターの音色を響かせるための、ナットとサドルの調整方法とポイントについてご紹介します。


1,サドルの調整方法


●サドル調整のポイント

 サドルは最も音質に影響のあるパーツの一つです。サドルの底面は必ず完全なフラットに仕上げる必要があります。

​ そのためにも必ず工具を使うことをおすすめします。


ナットサドルサンダー

オリジナルナットサドルジグ




●SuperNatural Pickup搭載モデルの弦高調整について


 スーパーナチュラル・ピックアップ(以下SN)はサドル・スロットの中の6つのセンサーで音を拾います。



 それを吊り下げるネジが両サイドにあります。

 そのネジを避けるようにサドルは加工されています。


 そのため、弦高を下げるためにサドルの底面を0.2mm削る場合は、両サイドの部分も0.2mm削る必要があります。





2, 弦高の測定の仕方


 「弦高」は、12F の弦の下側からフレットの頂点まで距離を測定します。



ものさしなどで測ります。


この写真は12F 弦高が2.5mmという事です。











3, 弦高に関わる他の要素



●ギターの弦の太さ(ゲージ)による違い


 1弦の太さを基準にしてゲージをこのように表現します。

 表示単位はインチです。※25.4mmをかけるとミリになります。


  .010…エクストラ・ライトゲージ

  .011…カスタム・ライトゲージ

  .012…ライトゲージ

  .013…ミディアムゲージ



 弦が細いほど振幅は大きくなります。

弦の振幅のイメージ図

 つまり、弦が細いほど弦高(弦が動けるだけの空間)が多く必要となるのです。

 逆に、弦が太い程、弦振幅は小さくなるので弦高を下げられます。


 Ayersギターは弦ゲージが .011の場合には 6弦が2.5mm 1弦が2.0mmで調整されています。

​  .011でも 2.4-1.9mm は可能です。


 もしもさらに 2.3-1.8mm にまで弦高を下げたい場合は .012ゲージを使うことをオススメ致します。




●ネック反り


 ネックの反りもまた弦高調整において重要な要素です。

​ 弦高調整の際にはネックの状態を確認し、必要であればトラスロッドの調整を行います。


 トラスロッド調整により12Fの弦高が変わるので、ネックの反りを調整した後にサドルの調整をするようにしましょう。



ネックの反りを説明する言葉

 日本語ではよくネックの「順反り」「逆反り」と表現しますが、英語や中国語ではいくつかの表現方法があり統一されていません。


 ここでは世界的サプライヤーSTWEMACの表現を少しご紹介します。



straight

ストレートなネック

(真っ直ぐな状態)



slight Up-bow

僅かな順反り

ネック・リリーフとも

(わずかにヘッド側が上がっている)



up-bow

順反り

(ヘッド側が上がりすぎている)



Back-bow もしくは reverse curve

逆反り

(ヘッド側が下がりすぎている)

 アップボウ、バックボウという言い方が定着したら呼びやすいように思います。


 順反りや逆反りの状態ではギターを正常に弾くことができません。



ネック反りと弦高の調整

 ネックには僅かな順反り(slight up-bow) が必要です。


 この反りを確認するには、6弦の1Fと14Fを抑えた状態で7Fと弦下の距離を見ます。

 この距離が 0.3-0.1mm となる反りをトラスロッドの調整で付けます。

緩やかな順反りのネックと7Fの弦高イメージ図

 弦が太い程、弦振幅は小さくなりますので、ネックを真っ直ぐにすることや、弦高を下げることができます。


 .011のカスタムライトの弦の場合は少し順反りを多く付けます。

 もしも .012のゲージを使われるのであればトラスロッドによってネックをさらに少し真っ直ぐに調整する方が良いでしょう。



 弾き語り中心の方とフィンガースタイルで高度な演奏をされる方とでは、弦高への要求が違ってきます。また弦を振幅させる量も異なります。



 一つの例として弦のゲージが011-052仕様での弦高セッティング方法を解説いたします。

 ​カポを1Fにつけ、片手の小指で14Fを押さえ、7Fの弦高をメーターを使ってチェックします。




 目分量ではなくメーターで正確に調整するのがポイントです。

 この0.001インチメーターで0.008になれば0.2mmの順反り(アップボウ)となります。


 0.008インチになるようにトラスロッドを調整します。

 0.2mmの順反りアップボウに調整したら、次にサドルの高さを調整します。


 12F 上で6弦2.4mm, 1弦1.9mmにします。湿度の変化などで弦高がわずかに上がることを予測して低めにセットしています。

 これが出来たら次に1F弦高の調整、つまりナット溝の調整を行います。

 アップボウを0.2mmにして、12Fの弦高をサドルで調整したら次にようやくナット溝の調整をします。

 1F弦高をこの表の数字で合わせると弾きやすさと鳴りの両立が可能です。



4, ナット調整の方法


 ナット溝の切り方によって音は大きく変化します。

 ここではAyersの基本の調整方法をお伝えします。他のギターでもこの方法で調整することで音が良くなります。


● Step1


 ヘッド面は約15度の角度が付いています。ヘッド面と同じ角度でナットヤスリを入れます。

 15度で溝を切ってナットと弦が全面接触になった場合、サウンドがタイトで、ストロークのコード感があまり美しく感じられません。


● Step2


 1Fの弦高を設定します。1F弦高を正確に測るには工具が必要になります。


 まずは6弦1Fの上に乗せます。そして、メーターの針がゼロになるようにセットします。




 6弦の1Fと2Fを押し下げるとフレットまでの距離がインチで表示されます。



  数字が21を指しています。メモリ一つが0.001なので0.021インチとなります。

​  1インチ=約25.4ミリをかけると0.53mm となります。













● Step3


 今度は25度の角度でナットヤスリを入れ、ナットのヘッド側を落として行きます。  一般に1/3を残します。ナット幅が5ミリならば1.66ミリなので少し多めに2mmの所まで落として行きます。

 弦とナットの接触面積を少なくする方がチューニングの安定やサスティーンの長さ、コード感の美しさなどメリットがありますが、あまりにも接触面積を少なくすると摩耗が早くなります。


 2mmの所に印を付けて、ヘッド側から25度で落として行きます。


(削る前)溝の中と2mmの位置にシャープで印をつける

削ったことで溝の中の印は2mmラインまで消えています


● Steo4


 15度と25度で削ったことにより、溝の中に角が出来ています。

 この角は落とします。

青いライン:15度  赤いライン:25度

ナット溝の角を取るヤスリの動かし方(動画解説)



 この角を落とすか落とさないかの音の違いははっきり分かります。角がある事で弦の接触面積が下がる可能性があるからです。


 プロのギタリストがピックアップで音を作る事を前提に弦高をもっと下げる場合もあります。


 ギターの調整に正解はありませんが、この方法はかなりバランスの良い調整方法と言えます。



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